運転中の僕の存在は、既に消されていることが多いんです。
それも「居る」ではなく「ある」という存在になるんです。
時には、石であり
=酔っ払いの戯言、絡みに耐える
時には、風になびく草
=お客さんの話に反論せず相槌をうつ
のように、気配すら感じない存在になったりするんです。
そんな石だからこそ、そんな草だからこそ色々と話しかけてくれるのです。
どうせ、2度と会わなくてもいい存在。
言ってみれば、一期一会の世界ですから。
だから、色々な内輪話をしてくれるのです。
だから、愚痴を言ってくれるのです。
時には、母親にでも駄々をこねるような理不尽なことも言えるのです。
(ちょっと困りますが💦)
タクシーは、人を目的地にお連れするサービスであり、旅客運送業と位置付けされています。が、実際は、不動産賃貸業なのです。
それも超〜〜短期物件を扱う商売なのです。
まぁ、厳密に言われれば、常に動き回っているので不動産とは言えませんが、車内という場所を提供しているのです。
車内という密室で異質の空間。
その中で垣間見る人間模様。
無言の中にドラマがあり、溜息の中に人生がある。
あっ、手を挙げたお客さんが前方に……。
それでは、どんな人間ドラマがあるか……。
これから、ストーリーテラーとしてお伝えできればと思います。